昼過ぎに空に浮かんだ巨大な雲

24歳66話

 明け方まで夜更かしし昼過ぎに起きてコンビニ、週刊誌とタバコを買い気が向いたらレンタルビデオ屋。夕方の衛星映画劇場のダビング、深夜までゲームをしてそこから深夜帯のバラエティー番組。なんぞうやジィー君ともすっかり会わなくなった。家族との会話もほとんどなし。こんな生活がニート期間の後半二年くらい続いた。19歳位から家に引きこもってかれこれ5年…それは昼過ぎに空に浮かんだ巨大な雲(時間)が気がつけば消えてなくなっていた感じだった。25歳までとモラトリアムを決め、それまでに僕の中の大きな目標であった留学もせず、そしてほんの少し頭の片隅にあった音楽をする、というのも結局はやらなかった。何がしたいんだろう?何かが始まると思っていたのだろう?自分を律することが出来ず、ただただ時間が最果てに流れて行っただけだった。自分にとって現実とは何なのだろう…そうそれは社会でありそれに参加することなんだろう。もうそろそろ区切りを付けないと。ぼんやりではあるが仕事をしないといけないと思った。その少しの勢いそのままにバイクで10分ほどにある小さな町へバイクを走らせた。別に求人雑誌を買いに行くとかじゃない、惰性で出掛ける事をやめるという意志のもとだ。町へ着きダイエーにある本屋に立ち寄りある音楽の月刊誌を買いダイエー一階の椅子に腰かけ買った雑誌のページをめくっていた。坂本龍一だったか、そのインタビューを俯瞰で眺めていた時、いきなり胸のあたりに大きな鉛を押し込まれたような強烈な感覚に襲われた。なんだ???これは…気が動転して何が起こっているのか分からない。少しの間椅子で休んでいるとその強烈な感覚の正体が分かった。5年間何もしてこなかった空虚な人生に対する言葉では言い表せないほどの『後悔』であった。社会という今まさに自分が足を踏み入れなきゃいけない場所に自分が立つ資格も能力もない事に気付いた時の絶望、寂寥、暗鬱、………「やってしまった…」僕は心の中で呟いた。次々に襲ってくる不安、もうすぐ25にもなる男が社会人経験もなくなんの資格もない状態をずっとほったらかしにしていた事実が胸にぶち当たってくる。冷静を保とうとその場から離れ近くの公園までバイクを走らせた。公園のベンチに座りタバコを一口。「本当にやってしまった」恐ろしいほどの危機感と焦燥感が次々に襲ってくる。タバコを吸ったところでどうにもならん。取り敢えず家に帰ろう。

 家に帰ると身体に異変が出だした。身体が鉛のように重たい。どうしよう、どうしよう。その時大げさではなく本当に自分の人生が終わったと感じた。その日から抑うつ症状が出てきて僕は5年ぶりに精神科へ行くことになった。

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