ジィー君となんぞう

22歳58話

 いつもの幼馴染と三人で深夜近くの公園で酒を飲みながら僕は不意に「俺語学留学行くのよ」と語気を強めてジィー君に言った。勇気のいる言葉だったし、自分でプレッシャーをかけながら自戒の意味も込めてはっきりとその言葉を放った。そうするとジィー君は目をまん丸にしながら「マジか!!」と羨ましそうに僕の顔を凝視している、続けて「どこにいくの?」  「イギリスのスコットランド…」   「いいな~~~」目標が出来た人に対するキラキラとした羨望の眼差しが僕には少し堪えた。

 なんぞうはもうすでにベロベロに酔っぱらっていてこちらの会話なんか聞いていない、月明かりがなんぞうの淀んだ瞳を照らしていた。「なんぞうは海外とか興味ないの?」なんぞうはゆっくりとタバコを吸いこみはにかみながら煙を出し「俺はないなぁ~」と気怠そうにぽつりと一言。なんぞうはもし仮に僕が海外に行ってしまったら寂しくないのだろうか?少しは悲しいんじゃないのだろうか?そんなことを考えてみたがその気持ちは正に自分の感情であり、寂しさや悲しさは自分が一番感じている事だった。  取り敢えずは今年度はニート生活をすることにして区切りの良い世間一般で大学生が卒業する年に合わせて日本を出る『気持ち』で日々を過ごそう。

過去の話
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