19歳11話

 いつものように学校帰りよっちゃんとその他のメンバーでよっちゃんの家で晩飯を食っていた。てんちゃんが「〇〇(僕の名前)は実習先決まったの?」とうどんをすすりながら聞いてきた、「うん、決まったよ、家から1時間弱かかるとこかな〜はなちゃんと一緒の実習先!!」はなちゃんがニヤニヤしながら嬉しそうに僕の方をみた。専門学校1年目の三学期が終わったあとの春休みに2週間老人ホームへの実習があるのだ。夏休みの任意での実習とは異なりこれは学校のカリキュラムにばっちり入っている実習(泣)内心めんどくせーとしか思わなかったし、2週間がとんでもなく長期間に思えた。何をするかはまだわからなかったがとにかく面倒臭い(それが学生の本分なのに何を言ってるんだ)
 実習当日僕は実習先から歩いて20分位の所にある駅にはなちゃんと待ち合わせをした。まだ辺りは暗く身体の芯まで冷えるような寒さだ(2月中旬あたりだったと思う)これから始まる実習の憂鬱さをなんとか隠すようにお互い「頑張ろうぜぇ~」と覇気のない励まし合いをして二人で実習先までバイパス沿いの田舎道を歩いた。

まだまだ寒い春先に使えるダウン


 施設はバイパス沿いにありとても大きくだだっ広い広場に無造作に4つも5つも佇んでいた。施設に着く頃にはまだ太陽が顔を出す前で辺りはまだまだ暗くその光のなさも相まって憂鬱にそして逃げることのできないこれから始まる【実習】という言葉がより暗く重苦しいものとして身体にじわりと入ってきた。
施設に入り最初に対応していただいたのは施設長である。見た目はとても怖く、頭はスキンヘッドで例えるなら今で言うヒップホップをしているようないわゆるストリート系の怖い雰囲気を持っていた人だった。防寒ジャンパーを着ていたのだが、タトゥーが入っていると言われても絶対に信じる(笑)施設長は見た目通りとても厳格な方で彼からこの2週間でする事や実習に当たっての心構え等を懇々とまるで説教をされる様な感じで説明を受けた。この時僕とはなちゃんのテンションがより下がったのは言うまでもない。
 この実習がきっかけであったと思う、僕の心に少し傷が入りそこからじわじわとメンタルが化膿していったのは…
 実習開始、僕とはなちゃんはそれぞれ別々の職員さんと二人一組になり2週間毎日その職員さんと実習を行っていく、僕を指導してくれる職員さんは女性の介護士さんで初対面で「おはよう!!!!今日からよろしく!!」と笑顔で声をかけてくれ、その元気な言葉でそれまで憂鬱とした僕の気持ちが少し軽やかになり、この職員さんとなら頑張れそう!!と気持ちが高まった。この実習で僕は2つの経験をすることになる、1つは心の経験、もう1つは生命をおびやかされる危険!?

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