18歳4話

 「よっちゃん」地方から来たマルボロメンソールとヒップホップとサブカルが好きなマッシュヘアーの少し背の高いこの子とは毎日昼休みになると少しずつお互いの事を話し始めた、彼女の事、趣味の事、高校の事、、、そうやって話している時、ふいによっちゃんに「オレん家で飯食わん?」と誘われうんいいよ!と二つ返事で誘いを受け入れ学校終わりに二人で校舎前に行った。そこには一昨日くらいから昼休みに二人おしゃべり仲間が加わった「てんちゃん」と「はなちゃん」が笑顔で待ち構えていた。よっちゃんが「いつもこの二人と飯食ってんのよ」と言い、僕とてんちゃん、はなちゃんを両腕で抱え込むように自分の家の方向に押し始めた。よっちゃんの家までは学校から20分位の所にあり二階建ての20戸程の賃貸物件。中に入らせてもらうとよっちゃんのセンスが炸裂したまるで映画『時計じかけのオレンジ』に出てくるようないわゆる現代アートの様な内装が6畳一間にここぞとばかりに無駄なく整備されていた。レイアウトの完成度が高く18歳でこんなセンスがいい人間がいるもんだなぁと感心した。 

 よっちゃんの実家は地方のうどん屋さんで仕送りで貰ったうどんを僕たち三人にご馳走してくれ、たわいのないバカ話をしながらうどんをすすった。僕はいつもこんな状況で思うことがある、みんなは将来の事を考えているのだろうか?専門学校は続けるのだろうか?ちゃんとこの道に進むと決めているのだろうか?僕は昔から他人の「意思」が気になる。僕は自分自身の意志があるのかないのか、そもそも意思って何?曖昧な自分が嫌いででもそれを考えるのは嫌で、許されるのなら一生考えなくてもいいと思っていた。今でも少し思う。曖昧な自分の立ち位置が不安定でだけど居心地が良かった。

 「社会心理的モラトリアムは長ければ長いほどいい」

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