23歳63話
毎年正月に行っていた母親の実家へ帰省するのを初めてパスした。何でかというと親戚の目が気になるから。母親も僕の気持ちを察してか本当は一緒に帰りたいのに僕のわがままな行動を許してくれた。ニート期間中の五年間は一切帰省せずに実家で大晦日と正月を祖父母と楽しんだっけ。年末に放送される大型バラエティー番組、深夜に放映される名作映画、大晦日恒例の格闘技番組と笑ってはいけないシリーズ。年を跨ぐと同時に始まる朝まで生テレビ。それはそうとニート生活の中でイベントはほぼないので何か節目を感じられるのはやっぱり一年で正月だけやね、おばあちゃんがおせちを作ってくれるから。
自分の時間や生活に何の障壁もなくたわいない日常が過ぎるだけで気がつけば23歳になっていた。留学?社会人?仕事?なんやそれ。僕は毎日だらだら過ごすことに忙しいんや、目標もやることもないけど充実してるからね。
日々をただこなすだけ、部屋には雑誌が増え続ける、コンビニで毎日何か買うけどバイトしてた時に貯めた70万円は不思議と減らなかった。お年玉、誕生日、たまにくれる祖父母からのおこづかいでやりくりしてたんやね。 時間と物理的な空間がだんだんと分からなくなってくる、はっきりと分かるのは基本的な生理欲求だけ。そんなんで不安じゃないの?大丈夫?全然大丈夫です!!モラトリアムを25歳までに延長したから。今したいことは20歳まで熟睡というものをしてこなかった借りを返し続ける事や…
