
20歳34話
彼女の家に夕方からいるのはいつぶりだろうか?家に行くときはいつも深夜バイト帰り、日中は基本幼馴染を優先しているから平日は彼女の家に行くことはない。というより真っ当な学生生活を送る彼女と会うと自分との身の程の差に心が辛い。正直浪人中のなんぞうとフリーターをしてるジィー君と一緒にいることが凄く心地いい。幼馴染との宴がキャンセルとなった僕とバイトが休みだった彼女の時間が合い家にお呼ばれされることとなった。会ってしまえばそれはそれで楽しく過ごしていたが、彼女が突然昨日バイト先でナンパされた話とか知り合いの友達にクリエイターの人がいてその人の家に行った事等(家には音楽の機材が沢山あった事等)事細かく喋りだし、一瞬不思議に思って話を聞き流したが、その時は僕が揺さぶりを少しづつかけられていた事を気付けなかった。彼女は順を追って少しずつ僕との関係値を計りながら丁寧に接してくれていたんだなと今になって思う。この頃から二人の向いている方向が違ってきたのを肌で感じるようになり。小さなことでもよく喧嘩をしだした時期だった。
日中の調子が悪く深夜帯になる程、頭が冴え何なら身体も調子が良くなってくる。僕はもう夜型人間なんだと自覚した。楽しいと思えることは大体深夜にすること、幼馴染との集まり、深夜番組、深夜のビデオゲーム。そして新しく追加された深夜の楽しみはバイト帰りに漫画喫茶で朝までオールする事である。漫画喫茶に行った事はなかったけどバイトの帰り道に漫画喫茶の看板があるのはいつも気になっていた。次の日が休みのバイト帰りはどこか心寂しいし同僚がおすすめしてくれたのもあって興味本位で行ってみた。漫画喫茶の目の前の歩道にバイクを停め店があるビルの二階へ階段を上がっていった。ビルの一階を借り切ったフロアは結構広くて、机の備え付け蛍光灯で本を読むイメージをしていたがそんなものは無くて、フロアに照明が燦燦と照り付けていた。階段を上がると入り口に扉はなくて入ってすぐに受付があった。僕は一時間課金コースを選んで先ずは自分のテーブルを探した。深夜3時お客は店全体で40%位しか埋まっていなくて四人掛けのテーブルを贅沢に選んだ。本棚にあったあだち充のH2を5巻程確保して読み始めたが家の自室ではなくお金を払ってゆっくりタバコを吸いながら漫画を読むこの時間がめちゃくちゃ贅沢で楽しかった。この空間にまた来ようと思いながら漫画を読んでいると気付けば朝方になっていて、灰皿はタバコで一杯になっていた。会計を済ませレジ横に立てかけられた飲食のメニュー表を見ながら次は何か頼んでみようかなと思いながら店を出た。辺りは朝日が昇る前で少し暗く人通りも車もない、一瞬この街に居るのは僕だけか?と地球滅亡後、残された人類の一人かのごとく人が居そうな近くのコンビニに寄り見つけた店員に買った弁当を温めて貰った。
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