新年明けません
12月下旬彼女に留学の事を打ち明けた。彼女は彼氏の突然の表明に若干の戸惑いを見せた直後、物寂しさを感じた様子で、彼女自身は彼氏の人生の蚊帳の外に置かれた状態に感じていたんだと今になって思う。お互いその話については深掘りせずに取り敢えず二人の問題からいったん外へやった。 彼女との二度目の大晦日は去年とは違いお互いに別々に過ごした。彼女は地元に帰り、僕も実家で過ごした。
留学は空想でそれを人生に持ち込んだことが僕の失敗で、いや小さい頃から空想ばかりして人生にもやがかかっていてどうすればいいんだ?そもそもそれがデフォルトなのか?当時の僕はこんな感じで、彼女には空想なんてなくて目標がある、過程がある、価値を知る、自分を知る、相手の事を思う、存在を認める。空想家に彼女の事は理解できない同じ土俵に立つこともない。こんな状況が決して短くない期間、彼女の人生に存在してしまった事に申し訳なさと、ただただガキだった自分が恥ずかしい。もやがなくなるのはそれから10年もかかったが…
大晦日が明け新年一発目のバイトにバイクを走らせた。家から10分位走った所に神社があるのだが、いつもと違い神社の近くまで行くとちらほら警備員が立っていて交通誘導をしていた。まさかいつも通る道が通行止めになってないやろうなと思ったが、案の定道路は新年の出店だらけで、神社から大通りに出る道は完全封鎖。バイクで警備員に近寄り「○○通りに出たいのですが」と尋ねると警備員がそこに行くための道を教えてくれたのだが、その道がこれまたややこしい導線で僕はバイクで山の麓を走りそこから大きな住宅街の中をまるでナムコゲームのパックマンみたいにグルグルあちらこちら迷走してやっとの思いで大通りに出ることが出来た。何とか遅刻は免れその日の業務を終えた。家に帰った時に昨日母から明日親戚が家に来ることを告げられたことを思い出した。新年に親戚が来るのは毎年恒例の事でいつも朝からすき焼きを食べ、親戚一同団らん。昼過ぎになると祖父祖母から貰ったお年玉を軍資金に親戚のおじちゃんも含めて計5人位でおいちょかぶが始まる。僕は毎年±0ぐらいの結果で、いとこは普段おじちゃんに鍛えられているのかメチャクチャ強い。いとこのお姉ちゃんが特に強く毎年平均+4万位勝っていく。ゲーム中おじちゃんがアドバイスをくれるのだが、対戦相手の表情を見ろ、仕掛けろ等、言っていることは分かるのだがどうも難しい。僕は大きく張らずマイナスにさえならなければいいのでいつもマイナスになりそうなところで辞めていた。そんな集まりが明日(正確には今日)なのだが、深夜3時に帰ってきて朝まで少しは眠ろうと思った。布団に入って目を瞑ったがなぜか眠れない…明日の親戚の集まりに少し緊張しているのだろうか。結局朝まで一睡も出来ずに親戚を集めた新年会が始まった。日中ボーっとし、朝のしゃぶしゃぶを食べた事やいとこと少し話した事までは覚えているが気付けば昼過ぎになっていて。毎年恒例の博打も欠席。そのあたりで初めて昨日寝ていない事、今日もバイトがあることを親戚に伝えると仮眠を許してもらえた。仮眠といっても布団の中で目を瞑るくらいでそもそも仮眠という行為をしたことがないのでひたすら布団の中でじっとしていた。気がつけば新年会はあっけなく終わり、僕の部屋にいとこが入って来て「じゃあまた!!」と一言。フラフラする頭で玄関先まで親戚を見送りそのまま僕はシャワーをして服を着替え家を出た。その日のバイト中、身体がとにかく熱くボーっとした頭をクリアにしようと目を見開き意識が冴えるように必死に自分の身体に働きかけ、業務に食らいついた。深夜0時を過ぎお客さんが少なくなると、少しづつ緊張感が解けあともう少しで自分の布団に潜れるという安心感がその日の疲労感を少し和らげてくれた。その日の帰宅後ご飯も早々にタバコを一本吸い、布団に吸い込まれるようにそのまま眠った。