
20歳29話
早いもので2003年が終わろうとしている。クリスマスシーズンを前に街はにわかにざわめいてきて僕自身も何故だかそわそわしてきた、毎度のことである。そんな街を僕は徘徊していた、特にしたいことはない。昼夜逆転生活もたまには飽きてきて夕方に起床してちょっと外出でもしてみるかといった具合だ。彼女を誘おうと思ったけど今日は一人でぶらぶらしたい気分だった。目的もなく出掛ける事、そして終わりは僕の気分や夜の風とか気温が教えてくれると思ったから。彼女を誘ったとしてもこんな基準でデートを切り上げるなんて彼女にはどう説明していいのか分かりません。目的のないデートは最初から何もなかったかのようなお家デートに限る。何をしたのか思い出せないお外デートは意味が分からない。
何気なく寄ったタワーレコードの視聴用モニター画面とにらめっこをしながら僕は必死で笑いを堪えていた。この頃ガキの使いやあらへんでの24時間シリーズがDVD化されて全国流通し始めた時だった。24時間シリーズの体育館編はテレビで観ていたので気になっていた続編となる24時間笑ってはいけないシリーズがタワーレコードでプロモーションされていてたまたまモニター前で足を止めていたところだった。あのシリーズの場の雰囲気に僕は引き込まれて些細な間でも笑いの引力に引かれてどうしても笑ってしまう。僕はモニター前で笑わないように耐えていたが何度か顔が綻んでニヤニヤしてしまった。視聴用は切り抜き程度に編集されていて、笑いどころが結構あり視聴しだしてすぐに即買いを決心していた僕はここでネタバレされるのが勿体ないくて、このまま視聴を止めて家で一人じっくり楽しむことにしてDVDを手に取りレジの方へそそくさと向かっていった。帰って早速プレイステーション2で観始めたがこれは大当たり。序盤から既に面白い、このシリーズのいい所は視聴者はただ観るだけじゃなくて一緒に参加して疑似的に演者と一緒に楽しめる事だ。僕は一緒に参加した気分になりながらメチャクチャ楽しんで観た。こんなに笑った事は専門学校時代にもなかった。やっぱりガキの使いやあらへんでは面白い。観終わるとすぐに弟に勧めて案の定爆笑する弟を見ながら満悦した。ちなみに僕が好きな笑ってはいけないシリーズはこの辺りまでで最近まで放送していたシリーズは予定調和な進行と過剰な演出が僕自身のマンネリ化を加速させて紅白歌合戦のように大晦日恒例のただの風物詩となっていった。そもそも自分の中ではこのシリーズは2003年がピークでそこから年を追うごとに急降下していった認識だ。
