身体が出ない

21歳51話

身体が家から出ない。本格的なニート生活になって本当に家から出なくなった。毎日寝て起きてタバコを吸って、おばあちゃんにご飯を作ってもらってそれを食い、自家製アイスコーヒーを冷蔵庫から取って来てそれを飲みながらタバコを吸う、それしかやっていない。毎日楽しかった幼馴染との集まりも日を追うごとに少なくなっていった。なんぞうは大学に合格して学生生活が始まっているし、ジィー君は留学費用を稼ぐためにバイトにより勤しんでいる。焦りも不安も徐々になくなってきている。まぁええじゃないか、毎日刺激のある生活とは真反対の生活だけど、居心地がいい。お金だって毎日300円もしないタバコに使うぐらいだし、暇になれば中学生時代から今まで売らずに取っておいた未プレイのゲームが沢山ある。性欲の消化も近くのレンタルビデオ店に行けばいい話。人間には生理的欲求があるみたいだがその都度出てきた欲求に間髪入れず満たせられる環境や条件は自分にとってそこそこ楽しいもので、それ以外がないからこそまさに欲求のために生きているようなものだった。これが僕以外ならどうだろう?ニートのままじゃヤバイと考えてすぐに求人情報誌などを買いに行くのだろうか?それともある意味社会からドロップアウトした自分を認めもっと極端な行動を取るのだろうか?僕はそんな考えはなかった。ひなが一日フローリングの上に敷かれた布団の上でダラダラとチャタテムシの様な毎日を送ることが天職なんじゃないかと思えてくる。

 家族はこんな僕の生活に何も言わなかった。特に両親は僕のメンタルが崩れた姿を見て以来良い意味で放任主義を徹底してくれていた。特に父親の態度が180度変わり優しくなったのが僕にはとても意外だった(今になって思えば仕事が忙しく子供どころではなかったというのが正しいのかもしれない)

 この生活で唯一の楽しみは週末今まで参加できなかった家族7人でホットプレートを囲み焼肉パーティーをする事だった。お酒の弱い身体でビールを飲み顔がゆでだこのように真っ赤になりながらフラフラと自室へ仮眠を取りに行き深夜酔いが覚めた頃、また一階の油でギトギトしたリビングへ行きサランラップに包まれた焼きそばをレンジで温めそれを夜食代わりに深夜テレビを観ていた。

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