21歳45話
彼女との最後のクリスマス。二人で話し合い別れることを決めた。彼女は僕が語学留学するなら別れることは当然という立場でそれは当然だと僕は思った。しかし当の本人である僕ときたら語学留学なんて正直かなりぼんやりしていて、25歳くらいまでに行っとけばいいかなぁと考えていた。目標もなく 『ただ留学に行った事がある』 というくだらない箔を自分が求めていただけでそれも今行くのではなく5年以内にとか救いようのないぐうたらぶりである。この頃は外デートでも家デートでも彼女の顔はいつも虚ろで悩んだような表情をしていて今思えば本当に申し訳なく彼女の気持ちをないがしろに、なんのフォローもしなかった。
去年あたりまで元クラスメイトから遊びの誘いがよく電話で来ていたが、彼らと会ったところで今の自分の立ち位置と彼らを比べてしまい引け目を感じてしまうことからいつも誘いを断っていた。そうすると次第に元クラスメイトから連絡が徐々に来なくなった。専門学校で今でも関わっている人が彼女だけになった。この時は専門学校時代はどこか遠い昔の事に思えて、僕は本当に学校に通っていたのだろうかとふと思うことがあった。もうすぐ学校を卒業する元クラスメイト達と時間軸を同じにしてもうすぐスタートラインに立たされている気分になる。僕は来年の春から何かをするのだろうか?留学?またバイト?それともニートのまま?彼女の将来に対する疑問に曖昧な答えばかり返す僕が?毎日好きな時間に起きて好きな時間に寝ることが唯一の楽しみなこの僕が?
毎年この時期になると街はクリスマスイベントで華やかになり、街中心部に僕は冬を彩るクリスマスイルミネーションを一人観に行った。街並みを照らし出された光の中、ロマンチックな雰囲気で
家族やカップルが街に溢れていて、イヤフォンを耳に差し込み音楽を聴きながら歩いていると明らかに誰かからの訝し気な視線を感じる、そうだよなぁ こんな場所に一人寂しく男が闊歩しているなんて場違いにも程があるといってもいい。そんな視線を感じる度にウォークマンの音量を上げ激しいロックミュージックで自分を鼓舞し胸を張って闊歩していった。