22歳53話
相部屋での生活、学校に行くバスの降り際に運転手に挨拶、バイト漬けの毎日。自室の布団の中でこんな妄想をしてみる。未来の自分、そして日本に凱旋した誇り高き自分を想像しては目を閉じてまた眠りについた。いつまでこんな人生が続くのだろう?自分の人生はいつ始まるのだろう?パラレルワールドというものがあったとして、現実と妄想、僕はその二つを行ったり来たりしている事に気が付いた。自分にとってどっちが本当の世界かというと妄想の世界がそうなんだということに親近感を覚えるし、何よりこっちの世界の方が心地よい。妄想の世界でやりたいことがやれていたら、現に肉体がある世界の自分は成功しているんだ。実際身体は充足感でそこそこ満たされるし日々の焦燥感もどこかに消えていく。でもいつまでこの生活が続くんだろう?改めて自分のやりたいことってなんだ?そもそも何故行動しようとしないんだ?
欲求5段階説とは、マズローによって提唱されたモチベーション理論。 人間の欲求を5段階(生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現欲求)に区分し、重要性にしたがってそれらが階層構造をなしているとした。 低次元の欲求が満たされれば、さらに高次の欲求を満たすべく行動する。
5つの欲求は次のとおり。
生理的欲求:衣食住などの生活に欠かせない欲求
安全欲求:集団に属することで、危険やリスクから身を守りたいという欲求
社会的欲求:家族や友人と親しくありたい、仲間から認められたいなどの欲求
承認欲求:他者から評価されたい、尊敬されたいなどの欲求
自己実現欲求:自己の存在意義を実現する欲求
マズローの5段階欲求説に従うならば僕は生理的欲求と安全欲求を満たしそれ以外の欲求は望めど行動をしない結果となる。裏返すならばこの二つの欲求が満たせていないと行動をしない人間となる。なるほど、この先ニートが5年始まることはあらかた予想できたわけだ。どれだけ希望しても行動しないと意味はない、ものにはならない、いたって単純な話なのだ。ニートもそうで良いか悪いかではなくてそんな自分のありのままの姿なのだから仕方がない。何かが変わる時、それは望んだ時ではなく行動した時のみにしか訪れない。