22歳60話
前回の散歩から一か月くらい経った頃、僕は元カノに連絡を入れた。「また会わない?」彼女の返事は少し素っ気なかったけど、前回と同じ駅で待ち合わせをした。待ち合わせ場所に来た彼女は前回とは違い元気がなさそうだった。表情や振る舞いで何をしにここへ来たのか分からないような感じに見えた。そんな彼女をどうやってエスコートしたらいいのか分からず、前と同じ散歩道を取り敢えず歩き出した。会話はほとんどない。これは気まずい雰囲気なのか重い雰囲気なのかも分からない。 歩きながらなんとなく分かっていた…彼女がこの街を離れた時が二人の別れだったけれど、お互いはそれを本当に信じていなかったのだ。だが今こうやって歩いている時にお互い感じていたことは、これが本当に最後の出会いになることを。僕がまた恋人としてやり直さないことを彼女に言わないばかりに、彼女はそれを本当の別れだと前回の散歩ではっきりと受け止めたのだ。それを言わずにただ会いたいとばかり言った僕に全ての責任がある。なんて情けのない男なんだ… 改札口で少しこちらを振り向き小さく手を振った姿が最後に見た彼女の全てだった。そういえばこの駅は彼女とよく一緒に降りた駅だった。駅構内にあった本屋さん、出店のドーナッツ店、彼女と行った洋服屋、眼鏡も一緒に買いに行った。駅の裏口にある宝くじ売り場で300円スクラッチを買って100円が当たった事… 駅の中を歩きながら走馬灯が頭をよぎり僕は近くに停めたバイクに跨った。
ブログするなら↓↓↓↓↓↓↓↓
