ルーティンワーク 後半

22歳55話

両親の寝室で録画用のDVDを手に取りハードディスクレコーダーにセットした。衛星映画劇場というNHKで放送されていた番組をDVDに焼き付ける作業が始まった。この番組は毎日放送されていてそれを先ずハードディスクに録画しそれを同じレコーダーでDVDに焼き付ける事が日々のルーティンワークになっていた。時刻は夕方の5時くらい、焼き終えたDVDにマジックで映画のタイトルを書きそれをケースに入れて自室のDVDボックスに納めた。特にそれを観るわけでもなく焼き付けたDVDがだんだんと増えていくのが楽しかっただけである(もちろん気になった映画は数本あったが1~2作品位)のちに映画に興味があったなんぞうに溜まりに溜まったそのDVDを数百枚貸し出すことになった。  そうこうしているうちに夕食の時間になっておばあちゃんが作ってくれたご飯を食べまた自室に戻った。ここからはゲームをしたり音楽を聴いたり、レンタルビデオ店で借りてきたビデオを観たりしていた。ニートはすごい、この時『ポポロクロイス物語』というRPGゲームをプレイしていたのだが、ゲームの終盤になりとあるアイテムを入手することが不可逆になったことがあった。しかし時間だけはあったので、それまでのプレイ記録を消し去りニューゲームでまたプレイし始めたが二日くらいでアイテムを入手しつつまたゲーム終盤まで辿り着けた。この感覚は長編小説を一気に読み終えるようなものだろうか。目が疲れ充血してきたら終わりの合図、PS2の電源を切りタバコ休憩。時刻は真夜中辺り家族の生活音が静まり自分の呼吸音や衣擦れがより明瞭に聞こえてくる。一階リビングに降りた僕は普通の生活を送っている人で言うゴールデンタイムに突入したようだ。ここから大好きな深夜番組を観る時間が訪れる、地上波では放送できないギリギリを攻めた番組企画が味気ない日常に刺激を与えた。そしてテンションの上がっているこの時間帯のタバコの減る本数が尋常じゃない、特に楽しい番組は放送中チェーンスモーカーになってしまう。夜が深まるたびに番組は少なくなっていきどこかの高速道路のライブ中継が映し出されると何とも言えない気持ちになりリビングで吸う最後の一本味わうように吸い終える。明け方に朝刊を配達するスーパーカブの音、鳥のささやかなさえずり、東雲色の世界に見て見ぬふりをしながら布団の中で伸びをして目を閉じる。

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