なんか怖いな…

22歳62話

 なんか怖いな…何が怖いかというと背後が怖い。姉の家にネットサーフィンをしに行き乗って来た原付バイクを停めるために駐輪所に行くんやけどなんか背後に嫌な気配を感じる。行くときはいつも夜の20時前後に行くから辺りも暗くなって余計に怖い。誰かの視点で僕を監視している映像が頭をよぎる…姉の家で一夜をして辺りはこんなにも明るいのに駐輪所に行くのが怖い。建物のありとあらゆる死角から誰かが覗き込んでるんと違うか?五感が鋭敏になり身体中が緊張感で引き締まる。駐輪場から原付バイクを運び姉のマンションからバイクを走らせる事は僕にとって脱出のような感覚だった。そう、あのグロ動画を見た時から世界には実際に殺し屋がおること、日本人を狙ってる事を知ってしまったんや、だから僕が日本人である以上狙われる可能性はあるんや。人が居ない駐輪場は僕を殺すのに最適な場所で数人のテロリストに襲われたらなんも抵抗できへん。これからはテロリストに注意を払って生活していかなあかん。人気のいないところ、夜…  実家だって安心は出来へん…自分の部屋のドアは開ける方向にすぐL字型の壁があるだからそこに何か置物を置いておくだけで実質鍵変わりになるんや、だからそこに腹筋トレーニング補助器具を毎日寝る前に置いた。朝起きるとまずは耳を澄ませて家族の生活音が聞こえるかどうかじっくり聞く、そして家族から出ているであろう音を聞くと一安心してゆっくりとトレーニング器具を外し、ドアを開け部屋から顔を出し辺りを見渡す。『よし!誰も殺されていない、この家にテロリストは入ってきていない』そう心の中で安堵しながら朝が始まる。こんなルーティンがここから一年程続きそれはネットでアンダーグラウンドな動画や画像を見なくなるまで日々やっていたことやった。その後インターネットの利用が減少するのと比例してそのルーティンワークは減っていった。

過去の話
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